伝説の記者 コマサンの「今日も野球日和」

プロ野球記者歴50年。伝説の記者・コマさんのコラム

プロフィル こまざわ・さとる
1942年、広島県生まれ。報知新聞入社後、半世紀にわたり野球記者一筋。主な著書に「昼も夜もカープ」(ベースボールマガジン社)、「赤ヘル軍団」「古葉竹識我慢の野球」(ともに講談社)、監修本に「耐えて勝つ」(古葉竹識)、「広島カープ 苦難を乗り越えた男たちの軌跡」「大野豊の全力投球(ともに宝島社)がある。現在、関西記者クラブ会員、プロ野球殿堂入り投票者、スポーツライター。

過去の記事を読む

2015年

2016年

2017年

2018年

新春インタビュー プロ11年目 丸佳浩選手(2018.1.11)

追悼星野仙一氏 中日入団時から親交 執着した金本のFA移籍(2018.1.18)

努力でつかんだ野球殿堂入り 金本知憲(2018.1.25)

今季の広島の戦力を分析 ― 野手編 ―(2018.2.1)

今季の広島の戦力を分析 ― 投手編 ―(2018.2.8)

口達者でチームのムードメーカー 金田留広(2018.2.15)

■ 2018年2月22日号

ロングティーで長打力をアップ

〈春季キャンプ沖縄編〉

 広島のキャンプは沖縄に移って紅白戦、各チーム相手の練習試合と実戦主体の場へ。若手には秋季キャンプや日南キャンプで体得した技術、身体能力などをアピールするチャンス。

 田中広輔、菊池涼介、丸佳浩、鈴木誠也にベテランの新井貴浩たちの限られたメンバーは、今年も故障さえなければ一流打者≠ニしての成績を残し、リーグ3連覇へのけん引者となるだろう。彼らは、日南での練習を見て、かつて一時代を築いた山本浩二、衣笠祥雄や、「ビッグレッドマシーン」と称された野村謙二郎、金本知憲(現阪神監督)、前田智徳、江藤智(現巨人三軍監督)たちと 同等の実力を備えてきたといっても良い。練習に向き合う態度、考え方、探究心。若手にはこれほどの教材≠ヘないだろう。

 育成からレギュラーの道へ、という昔からの広島の方針はいまも変わらない。新井を含めた田中、菊池、丸、鈴木誠がそうであるように、彼らは他球団が注目選手や即戦力選手を指名するドラフト戦略の裏をついての獲得だった。2年、3年と時間をかけて育てた素材≠ヘ成長期を迎え、現在に至った。松山竜平、安部友裕も地味ながらトップクラスまでの力量に達した。戦力の層の厚さは、今キャンプの個々の練習ぶりでうかがえる。キャンプの視察にやってくる他球団のスコアラーが「広島のレギュラー陣のスイングは圧巻そのものだ」と声をそろえて球場を後にする。

 その鋭いスイングの土台になっているのが、他球団に先駆けて取り組んできた、至近距離からトスした球をバックネット付近から外野へ打ち返すロングティーだ。30球、50球と続けざまにスイングするレギュラー陣の打球は、外野席まで飛び込んでいく。東出輝裕コーチは「ロングティーで放たれた打球がパンチ力の証明になる。坂倉将吾、西川龍馬や安部はロングティーでかなりのパンチ力がついた」という。

 一流打者≠フレベルに近づこうとして必死になっているのが2年目の捕手、坂倉だ。東京の日大三高からドラフト4位で入団。昨年ウエスタンリーグで99試合に出場して2位の2割9分8厘をマーク。終盤戦には1軍に上がって初めてマスクをかぶった。プロ入りの初ヒット、初打点も記録した。捕手というポジションを考えれば、最も時間のかかる難しさがあるが、首脳陣は近い将来の逸材と認めている。特に、左中間方向への強い打球は非凡なセンスの一端を見る。

 「若手の底上げ」(緒方孝市監督)が今キャンプのテーマの一つ。9年目となる堂林翔太は「もう後がないと覚悟している」と必死だ。昨年チャンスで勝負強さを発揮した3年目の西川、4年目の野間峻祥もロングティーに目の色を変えて取り組んでいる。ロングティーは腕力だけでは打球を飛ばせない。上半身、下半身が連動、インパクト時に力が伝わることに集中している。坂倉を含めて、キャンプで培ったものが、沖縄での練習試合、3月へのオープン戦で試される。ハードルの高い競争の中で新戦力≠フ台頭が楽しみだ。



pagetop