■ 2017年3月18日号

乳幼児の歯の成長 知っておきたい7つのこと


教えていただいたのは
小児学会認定専門医
歯科医師 池上明雄さん
(いけがみ小児歯科・東広島市西条町寺家)

虫歯予防だけじゃなく、歯並びも見越して

 虫歯、歯並び、かみ合わせなど、歯に関する悩みは多い。虫歯予防は永久歯が生える小学生からで大丈夫、と思いがちだが、専門家によると、乳幼児期に大切なポイントがあるという。親が知っておきたい7つのことを紹介する。(橋本)

健康な歯は磨くだけじゃない!

1 虫歯は生活の中で感染する

 新生児の口の中には、虫歯を作るミュータンス菌(以下、虫歯菌)はおらず、生活の中で、親や家族から子どもに感染する。虫歯菌に感染する前、0〜3歳の間に有益な菌が口の中にしっかり住み着いていれば、後から虫歯菌が入ってきたとしても簡単に定住することができない。大人から子どもへのかみ与えや、食器の共用を避けるなどして、感染を防ぐことが大事。

ACTION
家族みんなで虫歯菌を減らす

 赤ちゃんが生まれる前に親や家族の虫歯菌を減らすことで、赤ちゃんへの感染リスクも低くなる。

かみ与え×
祖父母にも依頼

 食事の際にかみ与えをしない、ペットボトルの回し飲みをしない、大人と一緒の食器を使わないなどの協力を、事前に祖父母にお願いする。

2 授乳中は砂糖に要注意

 母乳だけなら虫歯の原因とはならないものの、母乳を飲ませた時に子どもの口の中に砂糖があると、虫歯になるリスクが急激に高くなるということが分かっている。
 砂糖は虫歯菌の餌となるため、断乳、卒乳した後も、日常的に与えることは避けたい。甘いケーキは誕生日などの特別な日に食べる、など工夫を。

ACTION
歯を磨いてから
母乳飲ませる

 母乳を長く飲ませたいと考える人は、子どもの歯を磨いた後で母乳を飲ますよう習慣付けたい。

3 現代っ子は顎が狭い

 食生活の変化によって、現代の子どもは昔の子どもに比べ、顎は狭く、反対に永久歯が大きくなっている。狭い顎に大きな歯が入りきらず、結果、歯並びが悪くなってしまう。3歳になったら、頬を含ませてすぼませる動きを遊びに取り入れ、口の中の容積をアップしておこう。

ACTION
口の容積を大きくする遊び

●水を口に含んで「ぶくぶく」する。こぼしてもいいよう風呂でチャレンジ!
●吹き戻しで遊ぶ。
●風船を膨らませる。

4 習慣が顎を変形させる

 さまざまな習慣が顎の成長に関わる。おしゃぶりを長期間、長時間吸っていると、上顎が細くなり、全ての歯が生えるだけのスペースがなくなることがある。また、いつも同じ方向を向いて寝ている場合、顎がずれてかみ合わせが悪くなることもある。頬づえや指しゃぶりも顎の変形に影響する。

5 上唇や舌のひだは歯並びに影響する

 上の前歯の中央にある細いひだのような部分「上唇小帯」は、太かったり長かったりすると歯並びに影響することがある。「舌小帯」は舌の裏側にあるひだのような部分で、短いと「ラ行」などが発音しにくかったり、受け口になったりすることがある。
 いずれも歯並びや発音に悪影響を及ぼすようなら、手術で改善させるケースもある。

ACTION
健診の時にチェックを

 上唇小帯や舌小帯の太さや長さは親では判断しにくいため、1歳児や3歳児健診の際に歯科医師に聞くといい。

6 永久歯の本数が少ない場合がある

 永久歯の数が多かったり少なかったりすることがある。少ない場合、乳歯を長く使うことになるため、乳歯のケアがより重要となる。
 早めに永久歯の状況を把握するため、5歳になったら、上と下の歯全てを撮影するパノラマレントゲンを撮り、骨の中の永久歯の向きや本数を確認することをおすすめ。

7 第一大臼歯は虫歯になりやすい

 6歳ごろに生え始める奥歯・第一大臼歯は、1年〜1年半かけてゆっくりと生える。乳歯の後ろに生えてくるため、歯ブラシが届きにくく、磨き残しが多くなるなどして、虫歯になりやすい。親が仕上げ磨きするなどケアを十分にしがらも、合わせて歯科で、歯の溝を埋めて虫歯を予防するシーラントをすると効果的に防ぐことができる。

ACTION
シーラントで予防

 歯の溝を埋めて虫歯を予防するシーラントは、保険適用の予防処置。歯科医と相談を。


いけがみ小児歯科に伺った元気な歯を育てるポイント

POINT1 虫歯菌に感染させない

3歳までに、虫歯菌がうつらなければ、虫歯になりにくいといわれている。

POINT2 甘い物を食べさせ過ぎない

日常的に甘い物を食べさせると、口の中が酸性に傾き、虫歯になりやすい状況に。スポーツドリンクなども注意。

POINT3 規則正しい食生活

おやつのだらだら食い≠ヘ控え、朝昼晩、規則正しい食生活を。早寝早起きも元気な歯を育てる。

POINT4 3カ月に1回の歯科検診

「痛くなったら歯医者」ではなく、「痛くなる前に歯医者」。定期的な検診と歯の掃除が元気な歯の秘訣(ひけつ)。

POINT5 食後のブラッシング

食後の歯磨きは基本。虫歯をつくる細菌が多量に含まれる歯こうと、口の中に残る糖質を取り除こう。


動画で解説! 上手な仕上げ磨きの仕方

 うまくできているようでできていない仕上げ磨き。親子で楽しく磨くポイントを動画で解説します。


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