■ 2017年10月26日号

ラーメンを作ることだけが私たちの仕事ではない

 「ラーメンを作ることだけが私たちの仕事ではない」と話すのは、広島県を中心に博多ラーメン店を経営する「我馬(アースフード)」の代表取締役山ア智太郎社長。経営の基本は人づくりという同社の「人」の育て方について話を聞いた。(西谷)

良い人財がいるから会社が成長する

潟Aースフード 代表取締役社長
山ア 智太郎さん
会社DATA
2000.3 ラーメン我馬三篠本店を開店
2004.2 西条工場開設、製造部立ち上げ
2014.3 年商10億を突破
2015.3 創業15周年を迎える
2016.3 ハワイ ホノルル店オープン
現 在 ラーメン我馬9店舗、海外1店舗
ホテル並みのサービスと接客

 守るべきものを守り、変えるべきものは変える。常に成長を念頭に、前進し続ける「我馬」は、広島県内で9店舗を展開。2年前には海外に初出店し、とんこ つの味を広めている。8年連続売り上げアップを更新し、今では年商12億円を突破。新事業も立ち上げ、着実に成長を続けている。この成長の裏には山ア社長の言う「人づくり」が大きく関わっている。

 社長が目指すサービスとは、一流ホテルと同等の接客。来店するお客さんに対し、ご飯をおにぎりにしたり、おしぼりやお茶を出すタイミングを考えたり、つぼ漬けを置くなど居心地のいい店づくりをしている。

いい人財が会社を成長させる

 近年、飲食業界で働く若者が減っている。飲食にかかわらずいい会社は忙しいという。「お客さんの要望 があるからにぎわう。いい店に忙しくない店はない」。忙しいことで得るものはあるが、マイナスはないと言う。「得るものがあることは、自分の成長にもなる。それがやりがいに変わり仕事が楽しくなっていくはず」と。

 会社に必要な人材もその一つ。山ア社長は「人は財産だ」と言う。いい人財がいるから会社が成長すると考えている。集まった人と一緒に成功させ、挑戦したい思いから、同店で働く際には必ず会社の心得に目を通してもらう。笑顔と元気はもちろん、接客に対しての心得を認識し、高いスキルを学び成長できるステージ作りを心掛けている。

 また、いい人財を育成するため、頑張った人は勤続年数に関係なくどんどん昇格させ、社内のモチベー ションを上げるためスタッフの前で表彰する。

 社員には主婦も多い。働きたくても限られた時間しか働けない人のために、頑張りを受け入れるためのシステム「限定社員」を作っている。このシステムから副店長に昇格した社員もいる。

 「我馬の味と雰囲気を求め10年以上通ってくれるお客さんや、楽しみながら挑戦するスタッフに対して進化していく責任がある」と山ア社長は言う。これからも、「人財」をベースに県外や国外に出店させ、飲食のスキルを身に付けさせたいと意気込んでいる。

 近く、東京へ進出する計画もある。挑戦し続ける「我馬」で、スタッフと一緒に前進したいと願っている。

各ポジションの業務例
役 職 仕 事 内 容
一 般 基礎技術を習得の上、担当店舗のQSC、EQ、ホスピタリティを担う
副 店 長 店長のサポートとして店の取りまとめ、数字の理解、部下へQSCやホスピタリティの教育を担う
店 長 店舗経営、数字の管理、店舗組織のマネジメントCS管理を担う
統括店長エリアマネージャー 複数店舗の管理、QSCの安定、店長の育成を担う
部 長 店頭部署(全店)を掌握し、経営に直接携わり、会社を動かす

広島大学の若手研究者に聞く
山根嵩史さん(グローバルキャリアデザインセンター特別研究員)

研究テーマは「メタ認知」
モノを覚える前のメタ認知に着目 イメージしやすさ 覚えやすさの判断に

「小学校現場に生かせる知見を積み重ねたい」と話す山根さん

 研究テーマは「メタ認知」。人間は認知活動を行いますが、その活動を自分で見詰めながら、コントロールすることを、メタ認知と言います。

 メタ認知に関心を持ったのは大学時代。臨床的な心理学よりも、人間そのものの基礎的な心理学に興味が膨らんでいました。ちょうどメタ認知が流行していた時期で、メタ認知の概念が、人間の内的メカニズムに迫る基礎的心理学の分野と重なり、この研究を進めることにしました。

有・無意味な単語提示 実験を積み重ねる

 掘り下げているのは、記憶に関するメタ認知です。オーソドックスなのは、モノを覚えた後に思い出すメタ認知で、これまでにも、たくさんの研究がなされてきました。僕は覚える前のメタ認知活動に着目しました。人間はどういう方法で覚えるのか。覚える前の過 程が学校現場の学習に生かせる、と思ったからです。

 研究は、大学生に参加してもらいながら、実験を重ねてきました。「机」とか「雪」とか有意味な単語と、「たわが」など無意味な単語を画面に提示し、その単語の覚えやすさの程度を、参加者に判断してもらうことにしました。結果としては、有意味な単語が 覚えやすいと判断されやすいということが分かりました。さらに、覚えやすい単語は、「日常生活でよく見たり使ったりする」「イメージを思い浮かべやすい」ことが、覚えやすさについての判断である学習容易性判断(EOL)の手がかりになっていることも確認できました。

 前述の実験は、事前に実 験のテストをすることを予告しないで行いましたが、実験後にテストを行うことを伝えた条件でも考察してみました。その結果、テストの予告の有無に関わらず、EOLの判断は、イメージしやすさなどに影響されていることが分かりました。

学校現場に生かせる知見積み重ねたい

大学生に参加してもらい、実験を重ねる山根さん

 次の課題は、覚えやすさの判断基準が、学習者の勉強時間や成績にどう反映されているのかを明らかにすることです。覚えやすい単語だから、勉強時間は短くてもいい、と単純に考えがちですが、そのことがテストに反映されるかどうかは分かりません。効率的な良い学習方法とは何なのか。 メタ認知の概念から、小学校現場に生かせる知見を積み重ねたい、と思っています。

 一方、この研究の応用として学校現場の学習活動についても考察しています。一例としてノートを取るノートテイキングは、大学生を対象に調査を行いました。多くの学生が見やすさや、思考の外化、情報の精選など5つの方法でノートを取っていることが分かりました。

 大学生は、学習の仕方を確立している理想的な学習者と仮定し調査しました。つまり理想的なノートテイキングの方法が考察できたわけで、今後小学校の現場で、ノート指導に生かせれば、と考えています。

 勉強の方法をコントロールするのもメタ認知の力。小学生のノートで感じるのは、悪いノートは板書の丸写しが多いということ。メタ認知の機能が働いていないから、先生の板書を漠然と写すことになります。良いノートと、悪いノートの違いはメタ認知に左右されるといっても言い過ぎではないでしょう。

 僕は小学校の教員免許を持っています。ただ、自分の研究を直接、学校現場で実践したいとは思っていません。それよりも、大学の教員になって、もっと人間の認知メカニズムを極めたい、と思っています。

(聞き手・日川)

山根嵩史(やまね たかし)さんプロフィル
 昭和62年生まれ。平成18年、山口中央高卒。23年3月、山口大教育学部卒。25年3月、広島大大学院教育学研究科心理学専攻博士課程前期修了。29年3月、同研究科人間科学専攻博士課程後期修了。29年4月から現職。


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