■ 2017年9月14日号 西条酒特集

今、東広島の日本酒が熱い!! 映画や日本遺産で注目

 東広島の日本酒”が全国から注目されている。西条を舞台にした映画の撮影が10月から始まる他、市が「吟醸酒発祥の地」をテーマに日本遺産認定を目指して動いている。(堀江、日川)


瀬木直貴監督
西条が舞台の映画製作
「酒蔵通りの魅力感じて」

 日本酒がテーマで西条が舞台の映画「恋のしずく」の撮影がいよいよ来月から始まる。同映画の瀬木直貴監督に改めて西条の街や西条酒の魅力について聞いた。

 ―西条の魅力は。

 駅前の限られたエリアに 7社もの酒造会社があり、れんが造りの煙突がそびえている。この町の人にインタビューすると、あの煙突を見たら西条に帰ってきたと感じると皆、答える。そんな特徴的な場所は日本を探してもどこにもない。その価値に住んでいる人にも気付いてほしい。

 ―西条酒の魅力は。

 西条のお酒は蔵の個性が引き立ち、爽やかなものから熟成タイプのものまでバリエーションが豊か。日本全国を見ると、同じように蔵が集まっている地域は比較的同じ酒質になっている。蔵が狭い地域に集まっているから酒質も同じかと思ったが、西条のお酒は本当に個性豊かで面白い。


酒蔵通りを下見する瀬木監督
出演者を9月中旬に発表
10月にクランクイン

 6月に行われた公開オーディションには949人が参加。約180人が通過し、その内約150人が8月に行われたワークショップに参加した。ワークショップではせりふのある役付きキャストを選ぶた め、シナリオに基づいてそれを自分の言葉にしてしゃべる演技指導も行われた。最終的に約20人が選出される。メインキャストを含めた主な出演者は9月中旬に発表。

 映画の撮影は10月下旬から約1カ月間、西条をメーンに毎日行われる。7、8日の酒まつりの様子も撮影する。「映画を身近に感じてほしい」と言う瀬木監督は「撮影の現場に来て、撮影風景をぜひ見てください」と呼びかけている。見学も兼ねてエキストラで参加も可能。撮影が始まると週末を中心に多くのエキストラが必要になるので気軽に参加を。映画は来年秋に公開予定。

映画「恋のしずく」ストーリー

 ワイナリーで働くことを夢見る大学3年生の詩織(21)。ところが、実習先に決まったのは老舗の酒蔵だった。米農家で蔵人の美咲(33)の家に下宿し、失敗しながらも奮闘する理系女子の恋や友情、家族愛を描く。


8月に行われたワークショップ

日本遺産申請へ
「吟醸酒発祥の地」テーマ 18年度の認定を目指す
日本遺産とは

 地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産」として文化庁が認定する制度。ストーリーを語る上で欠かせない有形や無形のさまざまな文化財群を、地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内だけでなく海外へも戦略的に発信していくことで、地域の活性化を図ることを目的としている。

日本遺産のロゴマーク

 東広島市は、「吟醸酒発祥の地」をテーマに、2018年度の日本遺産認定を目指し準備を進めている。日本遺産の認定は、外国人観光客の喚起が大きな目的。認定されると県内では尾道市、呉市に次ぐ。


サタケの創業者で、明治41年に竪型金剛砂精米機を開発した佐竹利市

 日本遺産は、文化庁が地域に点在する文化財(文化遺産)を物語としてとらえ認定する制度。物語が一つの自治体で完結する「地域型」と、複数にまたがる「シリアル型」がある。東広島市では地域型で申請す る。今年度中に文化財を的確に把握する「歴史文化構想」を策定、文化財の保存と活用についてのマスタープランをつくる。


竪型金剛砂精米機

 市では、そのマスタープランをもとに物語を練っていく。日本遺産の認定には、興味深い物語の構築が不可欠となる。このため、市では西条酒造協会や酒類総合研究所、広島杜氏組合など関係団体と意見交換会を開きながら、協力して物語を練り上げていく。

 三浦仙三郎が軟水に合う醸造法を考案したことや、酒造用精米機を開発した佐竹利市、山陽鉄道の敷設などが吟醸酒の誕生や西条酒の販路拡大につながったことなどを軸に、「過去から現在、未来まで発展させた 酒文化の物語を考案していきたい」(市教委文化課)という。

 日本遺産は、〈世界遺産の日本版〉ともいわれ、認定されると大幅な観光客アップが期待できる。2年連続で日本遺産の認定を受けた尾道市は、15年度の外国人観光客が認定前の14年度に比べ、約8万人増の21万人に膨らんだ、という。

 東広島市では、近年、酒蔵通りや酒まつり会場を訪れる外国人観光客が増えている。市では、日本遺産の認定が、「酒文化の魅力を世界に発信し、さらなる観光振興の起爆剤になれば」と期待を寄せている。


 多くの煙突が建ち並ぶ西国街道のJR西条駅周辺一帯を指し、明治・大正〜昭和初期の風情ある酒蔵や煙突、事務所などが残る。酒蔵や煙突など71件が国の登録有形文化財に
写真=(公社)東広島市観光協会

 榊山八幡神社境内にある三浦仙三郎銅像。三浦仙三郎は、安芸津町の蔵元で、明治時代に軟水醸造法を確立した。その醸造法は、広島杜氏により全国に広められる

 旧木原家住宅(国重文)。江戸時代初期から酒造業や製塩業を営み安芸国有数の商家として栄えた。西日本でも一、二を争う古い町家


pagetop