まさ土崩れる 「表層崩壊」原因 

広島大大学院 海堀教授に聞く


「まさ土」が崩れた現場。東広島では至る山で「表層崩壊」が原因の土砂崩れが多発した

 平成に入って最悪の犠牲者を出した西日本豪雨。東広島市では12人の命が犠牲になった(7月13日現在)。土砂崩れが多発し、道路の寸断も相次いだ。今回の災害はなぜ起きたのか。これから注意することは何なのか。砂防学が専門の広島大大学院の海堀正博教授に話を伺った。(日川)

今後も注意必要 県の防災ウェブで雨量確認を


データを見ながら、今回の土砂災害について説明する海堀教授
―東広島市では、土砂崩れが多発しました。

 広島県は、概して地盤が弱い花こう岩地域で、県土に占める花こう岩の面積率は48%と全国一です。西条盆地周辺の山もほとんどが花こう岩です。今回、市内で多発した土砂災害は、花こう岩が風化した「まさ土」の斜面が大雨で崩れる「表層崩壊」が原因と見ています。

―過去には、東広島市で土砂災害はなかったのでしょうか。

 私が知る限り土石流が発生したケースは3度ありました。平成5年の記録的な大雨と、県内で死者・行方不明者32人を出した平成11年の6・29災害と、時間雨量で90ミリの強い雨を記録した9・15豪雨です。いずれも多くの土石流を確認しました。ただ、東広島で犠牲者が出たのは今回が初めてです。

―なぜ、今回は犠牲者が出るほど被害が拡大したのでしょう。

 一つはこれまでに経験したことのない大量の雨です。台風7号と梅雨前線の影響で、3日から7日の明け方にかけ400ミリ前後の雨が降りました。東広島は緩やかな傾斜の山が多いのが特徴です。しかし、今回の大量の雨は、緩やかゆえにこれまで崩壊を免れていた場所にも崩壊をもたらし、被害を拡大させたと言えます。

 人口の増加に伴い、住宅地が土石流の影響を受けやすい山すそ近くまで広がっていたのも、もう一つの要因だと考えています。

―梅雨は明けましたが、これから注意することは。

 雨が上がったとしても、今回の雨で土壌はたっぷり水を含んでいます。夕立など少しの雨でも土砂崩れが発生する危険性は十分にあります。参考にしたいのは県の防災ウェブです。雨量実況一覧をクリックしていただき、一番右の実効雨量の数字をチェックしてください。地区ごとに土壌に雨量が残っている状況を示しています。

 例えば140ミリと表示されていれば、今後60ミリの雨量でも200ミリ降ったのと同じ計算になります。気象庁の発表する降り始めからの雨量は、24時間雨が降らないとそれまでの雨量はリセットされていることを知っておいてください。

―災害対策で求められることは。

 防災は、発生前、発生したとき、発生後の3つで考える必要があります。発生前は、住んでいる場所のハザードマップを基に危険度を把握したり、防災訓練をしたりと、自分の身を守る取り組みが求められます。発生したときには、被害を最小限に食い止めるための地域の連携が最も大切です。発生後は、被災者や被災地域が再び前向きになり、次の災害に備えられるようになるまで支えることが大切です。被災者が語り部になって災害が発生したときの心理状態や行動を後世に伝えることも、次の災害時の命を救うことにつながります。


土石流災害の前兆現象(一部)

 異様なにおいがする→</p><p> 土砂が谷を流れ出る間に、木と木や石と石が擦れ合うことで、腐葉土のような酸っぱいにおいや火薬のようなにおい、生臭いにおいなどが下流に届いている現象
 降雨が続いているのに川の水位が減少する→ 渓流の上流で崩れた土砂が渓流を塞ぎ、渓流の水をためているために見られる現象。その天然ダムが決壊すると土石流となり下流に流れる

■土石流
 大雨が引き金となり、山から崩れた土や石が水と一緒になってものすごい勢いで流れ下る

表層崩壊

 傾斜地が豪雨などで、木の根の深さ1〜3m程度の表層土がすべり落ちる現象。基盤層である岩盤上部に乗っている土壌層のみが崩れる場合が多い。これに対し、深層崩壊は深さがはるかに深く、幅や規模も大きく、岩盤層から崩れることも多い。


広島県防災Web

 県の防災、災害時の情報ポータルサイト。雨量情報を知りたいときは観測情報→雨量情報をクリックし確認を。県内405カ所にある観測局の雨量を10分ごとに更新している。


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