西日本を襲った豪雨は、東広島市にも甚大な被害をもたらし、7月19日現在で12人の命が犠牲になっている。

 本紙先週号(7月19日号)で掲載したインタビューで、砂防学が専門の広島大大学院の海堀正博教授は、今後も継続して注意が必要だと呼び掛けた。雨が降っていなくても、土壌は多くの水を含んでいて、少しの雨でも土砂崩れが発生する危険性が十分にあるという。

 通常の雨でも不安が募る中、台風が接近する機会が増えるこれからのシーズン。次の大雨や災害に備えて、何を知っておくべきか。避難勧告や避難指示などをどう解釈するか。その際にとるべき行動は何か。

 市民一人一人が正しい知識と判断力を持ち、災害発生時には地域との連携も必要だ。今回の豪雨災害を受けて、「次に同じ状況になればもっと早めに避難する」「近所の人に、一緒に避難するよう呼び掛けるようにする」という声も多く聞かれ、被災経験を生かそうとする動きが増えている。

 今号では、東広島市が発表している情報を基に、水害、土砂災害時の避難の基礎知識を学ぶ。

避難時に求められる行動

避難準備
高齢者等避難開始

▽立ち退き避難の準備を整えるとともに、以後の防災気象情報、水位情報等に注意を払い、自発的に避難を開始する

▽土砂災害については、避難準備が整い次第、土砂災害に対応した開設済みの指定緊急避難場所へ立ち退き避難する

▽要配慮者(高齢者や障がい者、乳幼児など)やその支援者は立ち退き避難する

避難勧告

▽予想される災害に対応した指定緊急避難場所へ立ち退き避難する(ただし、指定緊急避難場所の開設を終える前に、避難勧告が発令される場合があることに留意が必要)

▽小河川・下水道等による浸水については、危険な区域が地下空間や局所的に低い土地に限定されるため、地下空間利用者等は安全な区域に速やかに移動する

▽指定緊急避難場所への立ち退き避難はかえって命に危険を及ぼしかねないと自ら判断する場合には、「緊急的な待避場所」(近隣のより安全な場所、より安全な建物等)への避難や、少しでも命が助かる可能性の高い避難行動として、「屋内安全確保」(屋内のより安全な場所への移動)を取る。

避難指示(緊急)

▽避難の準備や判断の遅れ等により、立ち退き避難をちゅうちょしていた場合は、直ちに立ち退き避難する

▽指定緊急避難場所への立ち退き避難はかえって命に危険を及ぼしかねないと自ら判断する場合には、近隣のより安全な建物等への避難や、少しでも命が助かる可能性の高い避難行動として、屋内でもより安全な場所へ移動する(屋内安全確保)

▽津波災害から立ち退き避難する※

※津波災害は、危険地域から一刻も早く避難する必要があるため、基本的には「避難指示(緊急)」のみを発令する

避難Q&A

土砂災害の予兆は?

崖崩れ

 斜面の地表に近い部分が、雨水の浸透や地震等で緩み、突然、崩れ落ちる現象。崩れ始めてから、崩れ落ちるまでの時間がごく短く、人家の近くで起きると逃げ遅れる人も多く、人命を奪う事の多い災害。

崖崩れの前兆現象

■崖にひび割れができる
■小石がパラパラと落ちてくる
■崖から水が湧き出る
■湧き水が止まる
■湧き水が濁る
■地鳴りがする

地すべり

 斜面の一部あるいは全部が地下水の影響と重力によって、ゆっくりと斜面下方に移動する現象。移動する土塊の量が大きいため、甚大な被害を及ぼす。

地すべりの前兆現象

■地面がひび割れたり陥没したりする
■崖や斜面から水が噴き出す
■井戸や沢の水が濁る
■地鳴り・山鳴りがする
■樹木が傾く
■亀裂や段差が発生する

土石流

 山腹や川底の石、土砂が長雨や集中豪雨などによって、一気に下流へと押し流される現象。時速20〜40キロという速度で一瞬のうちに人家や畑等を壊滅させてしまう。

土石流の前兆現象

■山鳴りがする
■急に川の水が濁り、流木が混ざり始める
■腐った土のにおいがする
■雨が降り続いているのに川の水位が下がる
■立木が裂ける音や石がぶつかり合う音が聞こえる

参考:内閣府政府広報室「土砂災害の種類と前兆現象」


避難勧告が出てから逃げれば大丈夫?

 災害から命を守るのに最も有効な方法は、早めの避難。想定外の事象の発生も考えれば、避難するのに早過ぎることはない。避難勧告等の発令前であっても、あるいは発令されなくても、身の危険を感じたら早めに避難行動を取ることが重要。

 避難勧告等は「発令されない=安全」ではない。ゲリラ豪雨のような極めて短時間の局所的大雨で発生するような小河川の浅い浸水等については、避難勧告等の発令は困難。

 また、避難勧告は区域を区切って発令されるが、その区域も目安であり、区域外だから安全であるとは限らない。いずれの場合も、危険を感じたら自主的に避難する姿勢を忘れないことが重要


水害時の避難のポイントは?

●激しい降雨時には、河川には近づかない。

●小さい川や側溝が勢いよく流れているときは、その上を渡らない。

●大雨で側溝や下水道の排水が追い付かず、浸水している場合は、マンホールや道路の側溝には近づかない。

●自分がいる場所の雨が強くなくても、上流部の降雨によって急激に河川の水位が上昇することがある。大雨注意報が出たり、上流に発達した雨雲等が見えたりしたら、河川敷等での活動は控える。

土砂災害時の避難のポイントは?

●小さな落石、湧き水の濁りや地鳴り・山鳴り等の土砂災害の前兆現象を発見した場合は、いち早く自主的に避難するとともに、市にすぐに連絡する。

●土砂災害警戒区域・危険箇所等に住んでいる人は、避難準備・高齢者等避難開始の段階から自発的に避難を開始する。

●土砂災害警戒区域・危険箇所等に住んでいる人は、避難勧告が発令された時点で、すでに付近で土砂災害が発生していること等により、指定緊急避難場所までの移動が、かえって命に危険を及ぼしかねない場合には、より安全な場所へと避難する。

●浸水想定区域に住んでいる人は、避難勧告等が発令された後、逃げ遅れて、激しい雨等で指定緊急避難場所までの移動が危険な場合は、近隣のより安全な場所や建物へ移動する。それさえ危険な場合は屋内にとどまる。

注意すべき防災気象情報と情報入手先

気象庁

国土交通省 防災情報提供センター

国土交通省 都道府県が公開している土砂災害警戒情報等の防災情報

東広島市防災情報等メール配信サービス

気象情報の他、避難勧告や避難所開設等の避難情報、災害状況等。

FM東広島

ラジオの周波数 89.7MHz

サイマル放送 インターネットでも聞けます

緊急告知ラジオ
 東広島市では、災害時において市民に適切な防災情報を確実に伝達することを目的に、災害時に緊急情報が入ると自動的に起動する緊急告知ラジオの販売・配布を行っています。


普段から災害への備えを

@ハザードマップで自宅の災害危険度を把握する

 ハザードマップを使って、自宅の場所にどのような危険が予測されているのか把握を。ハザードマップとは、地域の災害危険度を示した地図。インターネットでも公開されている。

A災害別に発生時の避難行動をあらかじめ決める

 立ち退き避難をするのか、屋内安全確保で対応できるのか、ハザードマップの情報を基にあらかじめ決めておく。

B立ち退き避難する場合は、どこに避難するか確認する

 指定避難所か、その他の安全な場所が確保できるのか等を事前に確認。災害ごとに指定される市の指定避難所はハザードマップやインターネットで確認する。

C避難の判断をする際、判断材料として注目すべき情報を把握する

 避難の判断材料となるのは、気象庁の防災気象情報や市が発令する避難勧告等。ハザードマップの情報を基に、例えば洪水であれば、どの地点の雨量や水位の情報等を確認すればよいかを具体的に把握する。避難勧告等の入手については、自治体がどのようなサービスを提供しているか確認し、日ごろからアクセスできるようにしておく。

国土交通省 ハザードマップポータルサイト
広島県防災WEB

 災害による被害被害の防止や軽減等のために必要な気象情報等各種ハザードマップと道路冠水想定箇所等の情報を1枚のマップ上に重ねることが可能


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