東広島市でも多くの被害を出した西日本豪雨から約1カ月。国や市はどう動き、復旧・復興へ向けてどう進んでいくのか。地元選出の新谷正義衆議院議員と、高垣広徳市長に現状や今後の見通しを聞いた。今号では一部を紹介。対談の全内容は、FM東広島で放送。(聞き手/福本晋平)

対談の内容を動画で公開


新たな財政支援策定

 ―国の動きは。

 新谷 今回は未曽有の災害。地域の皆さんが復旧・復興に全力で取り組めるよう、特定非常災害と激甚災害の早期指定に、スピード感を持って取り組んできた。生活、なりわいが元通りになるよう、未来に希望が持てるよう、バックアップしていく。

 ―市の状況は。

 高垣 土石流による被害が多発。今回の豪雨で山の斜面災害が広島から岡山にかけて約8400カ所で起こり、このうち3分の1に当たる約2740カ所が東広島市で発生したといわれている。

 過去に例のない規模の災害。国や他の自治体、自衛隊、消防などの協力を得ながら、復旧作業を進めている。発災当初、愛知県から は10人の職員を送ってもらった。技術的な支援として、国交省のテックフォース(緊急災害対策派遣隊)は多い時で40人も入ってもらい、被害調査を速やかに進めることができた。

 ―新たな支援策も発表された。 

 新谷 中小企業や観光への財政支援を柱とした「生活・なりわい再建支援パッケージ」を8月3日に閣議決定。生活再建では、全壊だけでなく、半壊の家屋の撤去費用も補助対象に。被災者自らが、がれきや土砂などを撤去した場合の費用を後から清算できる仕組みもつくった。住居が全壊した世帯などに対して最大300万円の生活再建支援金を支給するなどの対応を行う。

 なりわいの再建では、中 小企業同士などで連携して、復興計画を作った場合、工場や店舗の復旧費用に対して、最大4分の3の補助を実施する。

 ―国と市の連携は。

 高垣 さまざま分野で県や国に、制度運用の緩和や新しい制度作りについて対応してもらうことが随所にあった。この「生活・なりわい再建支援パッケージ」にもわれわれの思いが反映された。災害は財政的にも大きなダメージを与えている。国に支援をいただき、早期復旧へ向け全力を尽くす。

 新谷 市として将来にわたって計画の見通しがつくような支援をしていきたい。私もしっかりと政府に働きかける。

 激甚災害の指定は自治体への補助金の上積みがなされる。さらに今後は、技術的な面でも支援が必要となってくる。

 日本は助け合いの精神が優れている。温かい申し出をいくつももらっており、復興へ向け、大いなる原動力となっていく。

 ―復旧や防災体制など、市の取り組みは。

 高垣 8月8日から、災害対策本部を復旧にウエイトを置いた「災害復旧対策本部」として運営していく。インフラをはじめ、なりわいを元の姿に戻していく。今後どうなるのか、復旧プログラムを示すことで、市民の皆さんに早く安心感を持っていただきたい。2度の補正予算で101億8000万円を計上し、道路・河川の復旧作業、民有地の土砂の撤去、ボランティアセンターの運営費の補助、避難所の運営経費などに充てる。

 また、13日付けで、建設部に災害復旧推進課を新設。都市部にはプロジェクトチームとして土砂撤去推進室を設ける。専任の職員を配置し、迅速に復旧を進めていく。

自ら命を守る行動を

 ―次の災害から身を守るためにどのような行動をとればよいか。

 高垣 渓流で斜面崩壊が起こっている場所には不安定な土の塊がある。雨が降り地中の水分量が増えると、さらなる崩壊が考えられる。これらの危険な41区域には避難情報を早めに出すことを決めた。避難情報が出たときにどのような行動を取るか。自分が住んでいる場所の特徴をハザードマップで事前に認識し、自ら命を守る行動をとることが重要。市から出た情報に対し、敏感に反応してもらいたい。

 新谷 砂防ダムの整備などのハード、市民の防災意 識の向上のソフトが一体となった取り組みが大切。

 高垣 地域の皆さんが地域を守るということが重要となってきた。住民自治組織があり、自主防災組織も編制されている。行政として砂防ダムや治山ダムの整備、河川の修繕などをしていくが、同時に地域の中で、また、個々が災害に対して強い意志を持って、身を守っていくことが大切。市民と共に手をつないで、災害に強いまちを目指していきたい。

 新谷 東広島市にはさまざまな産業、教育機関があり、輝く地方都市である。しっかりとまちの良さ、力を取り戻し、光り輝く都市として再生を果たしていく。私も一市民として、力を注いでいきたい。


解説 西日本豪雨災害 これまでの災害との違いは

 政府は、今回の西日本豪雨災害について、7月14日に特定非常災害特別措置法に基づく「特定非常災害」に指定。豪雨災害としては初めての指定となった。15日には安倍首相が、「一連の災害を激甚災害に指定する見込みとなった」と表明。政府は昨年末、国などが被災状況を調査して「指定の見込み」を被災から最速1週間程度で公表できるよう、制度の運用を見直しており、今回が初の適用となった。24日午前には、「激甚災害」に指定する政令を閣議決定するなど、異例の速さでの対応となった。

 西日本豪雨での死者数は200人を超えており、平成に入ってからの 豪雨災害で死者が100人を超えたのは初。昭和57年に300人近い死者・行方不明者を出した長崎大水害以降、最悪の被害となった。

 広島県は、7月6日金曜日の午後9時、広島県知事から陸上自衛隊第13旅団長に対し、人命救助に係る災害派遣を要請。東広島市でも7日朝から自衛隊派遣を要請し、安芸津町での活動がスタートした。

 自衛隊は、大雨災害としては、「過去最大規模」といわれる態勢で救援救助を実施。元自衛官で民間企業などに勤める「即応予備自衛官」約300人を招集し、7月12日から広島を中心に生活支援活動を展開した。即応予備自衛官の招集は平成23年の東日本大震災、28年の熊本地震に続き3回目で、大雨災害では初となった。

 東広島市では、12人の死者と1人の行方不明者を出した。最大で61カ所の避難所に1601人が避難するなど、過去に例を見ない災害となった。

 (福本)


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