自動車のルーフ市場支えるグローバル企業

グローバルな視野で事業展開 加速するEV市場にも対応を

 東広島市西条町田口の田口研究団地内に本社・工場がある。車のルーフシステムや、屋根式とオープンカーに切り替えができるコンバーチブルシステム、燃焼式ヒーターなど自動車関連製品を開発・製造する。設立から40年。ドイツに本社を持つサンルーフメーカー・べバストの日本法人として躍進を続けている。(日川剛伸)


本社外観。エントランスはルーフをイメージしている


工場内の写真。日本でのルーフシステムのシェアは5割を超える


エントランス前の芝生広場では毎年、社員の家族や友人を招待してイベントを開催。今年はチャンバラ合戦を行った

 前身はダイキョー・べバスト。べバストと、自動車用樹脂部品メーカーだった大協が50対50の対等出資で1978年、合弁会社を設立。順調に売り上げを伸ばし、日本の自動車メーカーにサンルーフを浸透させていった。しかし、バブルの崩壊で受注量が激減。1999年、経営再建を図るため、べバストの100%出資の子会社として再スタートを切った。

 再出発後は、世界中に張り巡らされたグローバルネットワークを最大限に生かし、べバストグループ企業と連携を図りながらも、日本的な良さも残した企業として戦略を展開。商品の設計・開発を担う開発センター、セールスエンジニアの専門集団であるカスタマーセンター、製品ニーズに対応するオペレーションセンターなど4部門のスペシャリストがスクラムを組み、グローバルスタンダード(世界標準)の製品を提供してきた。

 ルーフの年間生産台数は2014年に初めて100万台を突破。その後は、115万台前後で推移し着実に業績を伸ばしてきた。国内の自動車メーカーに納入する一方で、東広島で開発した製品を中国やアメリカなど海外のべバストの工場で生産。べバストジャパンが、海外に進出している日系自動車メーカーのグローバル戦略を支援する体制を整えてきた。

 日本でのルーフシステムのシェアは5割を超える。ただ、国内で販売される自動車のルーフ装着率は数%に過ぎない。ルーフカルチャーが定着している欧米と違い、日本では車内に紫外線(日光)を取り入れることに抵抗があるのと、エアコンの普及が装着率の鈍さになっているのだ。生産台数が伸びているのは、国内で製造している普通車の7割は海外に輸出していることに起因する。例えば欧州では、自動車の屋根全体をガラスにするパノラマルーフが人気を集めている。

 早川富雄取締役は、ダイキョー・べバスト時代に、世界初の電動式キャンパストップをマツダと一緒に開発した例を引き合いに出し ながら、「ユーザーの心を揺すぶるような魅力的なルーフシステムをメーカーに提案していきたい」と強調する。メーカーに言われた製品を納入する受け身の姿勢ではなく、積極的な働きかけが、市場の伸びしろにつながる、と読んでいる。

 自動車業界は大きな変革期を迎えている。市場はますますグローバル化し、電動化の動きも加速する。こうしたことを視野におととし、べバストグローバルで新ビジョンを打ち出した。従来の事業基盤の強化に加え、拡大するEモビリティ事業へ本格的に乗り出す。

 天内達也取締役は「常に変化に対応でき、変化にも動じない組織であり続けたい」と力を込める。17年度の売上高は250億円。来年度は、べバストジャパンにとって大きな変革の年と位置付け、さらなる飛躍を目指す。


グローバル企業の長所や求める人材は? ブルース・ピアス社長に聞く

チャレンジ精神を評価 管理職は英語のスキル必要

 自動車のルーフ市場を支えるグローバル企業のべバストジャパン。グローバル化する市場に対応するため、新卒者の採用はもちろん、中途採用にも積極的に取り組んでいる。グローバル企業らしく社内はさまざまな国籍の社員が行き交う。アイルランド出身のブルース・ピアス社長に、求める人材やグローバル企業ならではの特長などについて聞いた。


「モノづくりが好きな人に来てもらいたい」と話すブルース・ピアス社長
 ―採用状況は。

 新卒者については、毎年10人前後を採用している。高卒者は機械を操作するオペレーターを、大卒者は専門職をそれぞれ採用している。キャリアを持つ即戦力の中途者も随時受け入れている。 ―求めている人材は。

 モノづくりが好きで、子どもの頃でいうとプラモデル作りに熱中したような人。グローバル企業なので、管理職のポジションでは、英語のスキルも必要とする。海外の人とのコミュニケーションは必須ですから。このため、会社では英語能力を高めてもらうため のサポートも行っている。

 ―会社の雰囲気は。

 フラットな組織で上下の距離が近く、社員を呼ぶときには、さん付けで呼び、役職で呼ぶことはない。私自身、社長と呼ばれたことはない(笑)。

 東広島で世界や世界の文化を身近に感じられるのも会社の持つ雰囲気だ。社員500人のうち、外国人は研修生を含めて70人。国籍もアジアやヨーロッパを中心にバラエティーに富んでいる。世界各国から当社への出張者も多く、当社からも毎月、20人前後の社員が海外に赴いている。

 ―グローバル企業ならではの長所は。

 チャレンジ精神を大切にするところ。目標を達成すれば必ず評価する。やる気 があれば、希望する職務にアサイン(配属)されるチャンスがある。実際、30代で管理職になる社員もおり、若い社員のマインドを刺激している。

 休暇が多いのも特長だ。盆やGWは1週間以上の休みがあり、有給休暇の計画取得も推進している。休暇ではないが、今年から間接部門の社員に限って、フレックス制度を導入した。オンとオフのメリハリがきちんとしているのも、外資ならではだろう。

 ―会社設立から40年です。

 自動車メーカーの中では知られているが、一般的にはほとんど社名が知られていない。ブランディングや、行政・大学との連携などに力を入れながら、若い世代がもっともっと魅力を感じるような会社にしていきたい。

沿 革

事業の柱となっている自動車のルーフシステム

1978年 ダイキョー・べバスト設立
1981年 大和町(現三原市)にサンルーフ組立専用工場建設
1990年 田口研究団地に新鋭工場を建設、生産50万台体制を確立
1993年 世界初の電動式オープンタルガ開発
1999年 べバストジャパンに商号変更。燃焼式ヒーター事業開始
2002年 第二工場建設
2003年 本館建設
2006年 中国広州にサンルーフ生産30万台体制の工場を新設
2007年 初のパノラマルーフ納入開始
2014年 過去最高の月10万台の生産を実現


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