ダイバーシティ経営で多様な「人財」育成

 社名のメンテックワールドには「環境」「人」「技術」「世界」という4つの思いが込められている。多様な「人財」が「適財適所」で能力を発揮できるダイバーシティ経営で、世界を見据えた取り組みに力を入れている。(日川剛伸)

メンテナンス業柱に成長
東広島から世界に。海外展開に力


マレーシアの現地法人スタッフ


女性社員で防府市が昨年主催したギネスに挑戦「おんなみこし」に参加


空調や換気で使用されるダクト製品

 創業は1961年。マツダの生産ライン設備のメンテナンス業務を行う会社として設立した。その後、品質からコスト、環境まで総合的にチェックするトータルメンテナンスにまで発展させた。

 さらに、メンテナンス業務で培った技術を生かし、空調や換気などで用いられるスパイラルダクトの設計・製造から施工までの一貫体制を確立。空気中に漂う粉塵を捕捉したり、抑圧したりする装置の開発・製造も行うなど、事業を拡大していった。

 事業を広げていく要因になったのは、2008年の本社工場の東広島市への移転だ。市内には自動車関連工場の他、食品加工や半導体などさまざまな分野の工場が集積。本社工場の拡張を基盤にしながら、他業種の工場にも取引を広げていった。

 会社のターニングポイントになったのは、本社移転と同時期に起こったリーマンショックだ。売り上げはピーク時の6割にまで落ち込んだが、リストラは行わなかった。それどころか、倒産・廃業した会社の技術者を受け入れた。仕事量が減った中、全社員が仕事を分け合うワークシェアリングで難局をしのいだ。

 一方で、労働時間を調整してできた空いた時間は社員教育と取引先の新規開拓などに費やした。景気が好転してくると、撒いた種が実を結んで、前述のように取引先が拡大。まさにピンチを好機に変えていった。小松節子社長は「社員は会社の財産であり宝。一人も失いたくなかった」と振り返る。社員の雇用を守ったことが、国籍や年齢、性別などにとらわれないで人財を雇用するダイバーシティ経営につながっていった。

 特に力を入れたのが外国人の雇用だ。日本に住む外国人留学生たちをアルバイトで受け入れ、社員に登用していった。「彼らは若くて向上心が高い。日本人社員にも大きな刺激になる」と小松社長。現在、従業員の13%が外国人で、社員や実習生として働いている。

 積極的な外国人の雇用は、海外に目を向ける原動力にもなった。2011年、「東広島から世界へ」との願いを込め、社名をメンテックからメンテックワールドに変更。13年にメキシコ、15年にはマレーシアにそれぞれ現地法人を設立した。さらに、小松社長が広島アセアン協会の副会長を務めていることが縁で、今年はタイに現地法人を設立し、アセアン10カ国を統括する会社もつくる計画だ。経済成長が著しいアセアン諸国を中心に海外事業を展開していく構えだ。

 小松社長は「海外では、トータルメンテナンス業務を求める引き合いが多い。広島で培った技術力を世界で生かしていきたい」と力を込める。

 今年が創業58年目。昨年の売上高は19億円だが、将来的には100億円の売上高を夢見る。「そのためには取引先の拡大は不可欠。日本と海外を合わせ500社以上にまで取引先を広げたい」と小松社長。志は高い。


女性が働きやすい環境整備 小松節子社長に聞く

4月に企業主導型保育園開園 フレックスタイムの導入も


「保育園では国際性豊かな子どもを育てたい」と話す小松社長

 女性経営者の目線から女性が働きやすい環境づくりにも力を注ぐメンテックワールド。今年4月に企業主導型保育園を開設するのも、その一環だ。小松節子社長に女性社員の雇用や、保育園開設の思いなどについて聞いた。

 ―女性社員の雇用状況は。

 現在、正社員140人のうちの1割が女性社員で、 女性社員の半数近くは管理職です。製造業では、女性社員の割合は多いほうで職場の活性化につながっています。女性を管理職に積極登用するのは、男性に比べ組織を管理するマネジメント力に長けているからです。

 ―今後の女性の採用計画は。

 1割を3割にするのが当面の目標です。特に工場の現場で働く女性を増やした いと思っています。そのためには、女性が無理なく働けるような環境づくりに取り組んでいきたいと思っています。

 ―具体的には。

 一つは4月に予定しているフレックスタイム制の導入です。子育てや親の介護をはじめ、病院に通院しながら働いている女性はたくさんいます。育児や介護、治療と両立できるよう、コアタイムを除いて、一人ひとりの女性が、就業時間を自由に決められるようにしていきます。


4月に開園する保育園インターナショナル・キッズ・コミュニティのイメージ図
 ―企業主導型保育園も開設されます。

 待機児童問題は深刻ですから。0歳児〜5歳児までを保育する保育園を開園します。弊社を含め、開園に協賛する地元企業の従業員 や一般市民の子どもの他、市内に住む外国人の子どもを受け入れるのが大きな特徴です。インターナショナルな保育園として、遊びながら4カ国語が学べ、感謝・感激・感動する心を持てる国際性豊かな子どもを育てていきます。

 ―定員は60人です。

 協賛企業以外の企業からも引き合いがあり、将来的には100人を保育できる体制を整えたい、と思っています。幸い増改築スペースは確保しています。保育園は、協賛企業への就業を希望する女性にとっては力強い味方となりますし、この保育園で育った子どもが将来、協賛企業に就職してほしいという願いもあります。

 ―4カ国語を取り入れるのは。

 東広島市は国際都市を掲げています。国際的に活躍できる子どもを育てることが、少しでも地域貢献につながればと思っています。


ISO9001認定取得に際しての決起大会(カープのユニホームを着用して集合写真)
沿革

1961年 マツダ本社工場で創業
1965年 東洋メンテナンスとして会社設立
1969年 広島市安芸区に本社工場建設
1989年 社名をメンテックに変更
2003年 創業者の小松健太郎氏の後を継ぎ、妻の節子氏が社長に就任
2008年 本社を現在の東広島市に移転
2011年 社名を現在の「メンテックワールド」に変更
2013年 メキシコに現地法人設立
2016年 マレーシアに現地法人設立


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