健康・医療・福祉分野の職業人育成

 「ヒロコク」の通称で知られる広島国際大学。健康・医療・福祉という幅広い分野で活躍する専門職業人を育成している。昨年、開学20周年という大きな節目を迎え、健康寿命の延伸を視野に入れた教育にも力を注いでいく。(日川剛伸)

学部・学科横断、全学的教育に力


東広島キャンパス


専門職連携教育の様子


地域住民と交流する学生

 開学したのは1998年。東広島キャンパス(旧賀茂郡黒瀬町)に保健医療学部と医療福祉学部の2学部、5学科体制でスタートした。その後、2013年、健康・医療・福祉分野に特化した特色ある総合大学を目指し新しい歩みを始めた。現在、呉・広島キャンパスを合わせて8学部10学科体制を整えている。

 「現場で活躍できる専門職業人の育成」という建学の精神を具現化するため、力を入れているのが全学的な教育。専門化が進む中、患者を中心にとらえた「チーム医療」に代表されるように、現場ではチームで活動することが不可欠になるからだ。目指す教育の枠組みを示した「広国教育スタンダード」に則って、さまざまな教育プログラムを実践している。

 16年度には、従来の共通科目、専門科目に加えて「スタンダード科目」群を新設した。焼廣益秀学長は「本学の学生に必ず身に付けてほしいのが《他人を尊重し協力しながら問題を解決する》という素養。その能力を育むのがスタンダード科目」と話す。

 軸になるのが13年度から先行して取り組んでいる「専門職連携教育(IPE)」だ。学部・学科間の枠を超え、専門分野が違う学生同士が議論を深めながら、チーム医療の実践力を身に付ける。

 そのIPEのための基礎力を磨くのが「アカデミックリテラシー」や「チュートリアル」などの授業。論理的思考力やコミュニケーション力を培っていく。このほか、多くの共通教育科目を1年次から配置し、早い段階からヒロコク生としての素養を修得していく。スタンダード科目は20年度から全学部で必修になる、という。


「時代の変化に対応できる学生を育てていく」と話す焼廣益秀学長

 一方で、学生たちが地域と交流する機会を設けているのも大きな特長だ。「人との触れ合いは、命や生活にかかわる仕事の根幹」と焼廣学長。例えば「地域がキャンパスin黒瀬」と銘打って住民自治協と連携し、レクリエーションを行うなど地域とのつながりを深めている。地域の人たちの健康への思いに触れることで、学生それぞれが将来をイメージするきっかけ作りにもなる、という。今年度から「広国市民大学」を開学、地域の人も大学で共に学べる環境を整えている。

 2020年度には、健康スポーツ学部を新設(設置構想中)するほか、現在の心理学部や医療栄養学部など4学部を一つに再編する健康科学部の開設も構想する。近年、健康寿命がクローズアップされるようになり、健康維持や病気予防に力を発揮できる人材を育成する。焼廣学長は「教育は生き物。常に社会の変化に対応した教育を行いたい、という気概を持っている」と力を込める。

 昨年までに巣立った卒業生は約1万5000人。多くの学生が在学中に国家資格を取得し、専門分野で活躍している。県内の主要な医療・福祉関係の機関に限れば、ヒロコクの卒業生がいない職場はない。焼廣学長は「《人の役に立ちたい》というのが本学の学生気質。彼らの思いに応えられるよう、生涯にわたり学び続け、時代の変化に対応できる学生を育てていく」と言い切る。


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山岡薫センター長に聞く しあわせ健康センター開設

住民の健康寿命延伸を後押し 専門資格持つ教員が対応


山岡センター長

 広島国際大の教員が地域の人たちの健康相談などに無料で応じる「しあわせ健康センター」が2月1日、キャンパス内の2号館にオープンした。センター長の山岡薫総合リハビリテーション学部長に、センター開設の経緯や、具体的な取り組みの内容などについて話を聞いた。

 ―開設に至ったきっかけは。

 大学の特徴ある取り組みを文科省が支援する私立大 学研究ブランディング事業に応募したのがきっかけです。健康・医療・福祉系の学部がある大学の使命の一つは、地域住民の健康寿命を延ばすことです。既に2017年10月から、総合リハビリテーション学部で言語聴覚士の資格を持つ教員が言葉や聞こえ、飲み込みの悩みなどに応じる相談を始めており、この仕組みを全学部に広げるため、センターを開設しました。



しあわせ健康センター
 ―スタッフは。

 医師や理学療法士、作業療法士、管理栄養士などの専門の資格を持つ教員27人が対応します。さまざまな角度から健康に関する相談ができる体制を整え活動しています。

 ―具体的な相談の内容は。

 各学部の特長を生かします。例えば、保健医療学部 では医師が一般的な健康相談や、健診結果に対してのアドバイスをします。総合リハビリテーション学部では、前述の相談の他、介護予防プログラムを作成したり、認知症予防のアドバイスをしたりします。このほか、心理学部では快眠のための助言を、薬学部では薬に関する相談に応じます。

 ただし、既に医療機関を受診している人や要介護認定を受けている人は相談の対象外です。医療行為も行いません。

 ―健康調査にも力を入れると聞いています。

 大学ですから、センターの取り組みには研究の視点を加えます。日本ではテレビなどで健康に良い事例が盛んに紹介されます。ただ、本当に健康に良いのか は分かりません。健康調査でデータを積み重ね、科学的な見地から健康寿命の指標をつくることができれば、と思っています。

 ―全国的にもユニークな取り組みです。

 医学部を持たない大学が、無料の健康相談を行うのは珍しいでしょう。病気の予防はもちろん、病気があっても悪くならないよう、虚弱にならないよう、積極的に取り組むことが、地域の健康寿命を延伸することになるという気概を持って、センターの運営に当たりたいと思っています。

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 センター利用は要電話予約。電話番号は総合リハビリテーション学部事務室0823(70)4851(平日9時〜17時[祝日を除く])。

広島国際大学の概要

 1998年、賀茂郡黒瀬町(現東広島市)に開設し、保健医療学部、医療福祉学部の2学部でスタート。その後、2000年に広島キャンパス、2004年に呉キャンパスをそれぞれ設置した。2020年4月には東 広島と呉の2キャンパス体制に移行する。新校舎の建設や陸上競技場の整備などを行っている。

 現在は保健医療学部、総合リハビリテーション学部、医療福祉学部、心理学部(以上東広島キャンパ ス)、看護学部、薬学部、医療栄養学部(以上呉キャンパス)、医療経営学部(広島キャンパス)の8学部で10学科10専攻がある。

 2020年度、健康スポーツ学部、健康科学部を新設・改組予定(設置構想中)。


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