3人のWebクリエーターと2人のプロがチェック!

 新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務やオンライン学習などが積極的に行われる中、行政主導のICT利活用への関心も高まっている。東広島市議会の6月定例会の代表・一般質問では「新型コロナ」に関連し「ICT活用」に触れるものが目立った。市が進めるICT関連事業の良い点と課題について専門家、関係者の声を集めた。(取材班)

↓ココがすごい!!

市のホームページ
ホームページの情報量多く、SNS発信も実施

 市のホームページは情報量が多く、文字の大きさなど見やすさへの配慮もされている。主要SNSも運用されており、定期的に発信されている。観光情報は、一部魅力的なサイトがあるが、サイトの構成が複雑でそこまでたどり着かない。

>>東広島市ホームページアクセス数の状況は

市議会の動き
ペーパーレスで460万円の削減効果

委員会でタブレットを活用する市議会議員
委員会でタブレットを活用する市議会議員

 2015年、県内の議会でいち早くタブレット端末を導入、30議員に一人一台貸与した。議会資料を電子化し、本会議や委員会のやりとりをペーパーレス化。その効果として年間で印刷費など460万円の削減効果があった。他市町からの視察も相次いだ。他市町ではタブレット端末を私的流用している議員も多いと聞く中で東広島市議はまじめに議案審議だけに使っているようだ。

教育の現場
ICTを活用した図書館サービスを開始

 コロナ禍で家庭でのオンライン学習が注目を集める中、通信環境が整っていない世帯にモバイルルーターを購入し貸与している(市立の小中学生全体の15%程度)。一方、今年度と2021年度で市立図書館の収蔵資料約80万点にICタグを付与。22年度に貸し出し返却機を設置し運用を始める。県内自治体では4例目で市民の個人情報の保護や職員の窓口業務の効率化を図れるなどのメリットがある。

>>東広島市の電子図書館

ドローンを使った農薬散布
ドローンを使った農薬散布

農業分野への活用
ドローンを活用し、農作業を省力化

 ドローンを活用するなど、スマート農業の推進により、農作業の省力化技術の導入を支援している。有害鳥獣捕獲に関して、罠を管理するシステムなどのICT捕獲システムを導入している。
 スマート農業などの省力化技術の導入支援や、ICT技術を活用した有害鳥獣捕獲システムの導入支援で、集落法人などの経営の安定化の促進、兼業農家のグループ営農促進などを狙っている。


ここがイマイチ!

市のホームページ
情報量は多いが掲載場所が複雑で発見困難

 「良くも悪くも平均的な作りという印象。検索性・操作性重視な表現・構成だが、市の特長・魅力などのPRポイントは見受けられない」とWEBクリエーター。情報量が多いという利点もあるが、「見たいページの掲載場所が深すぎる(たどり着くまでクリック数が多い)」という声も。市民活動情報サイトなどでは古い情報の掲載も見受けられるという指摘もあった。

>>東広島市ホームページ 専門家が採点

市議会の動き
タブレットを使いこなせず、関心もまだ低い

 災害や今回のコロナ禍など緊急時の議会機能を維持するためのリモート会議など通信システムが確立されていない。リモート会議にはタブレット端末が力を発揮しそうだが、端末を十分に使いこなせていない議員も。昨年度の一般(代表)質問の内容は右QRのとおりで、ICT関連の質問をした議員は多くない。識者に言わせるとICTを理解できていない議員も多く関心度はまだまだ低い。

>>昨年度の市議会 議員の質問内容は・・・

教育の現場
ICT学習、苦手な教員も

新型コロナの影響でオンライン授業の需要が高まっている
新型コロナの影響でオンライン授業の需要が高まっている
※イメージ

 教育ICTが普及しない要因の一つに、教職員のICT活用能力が不足していることがあげられている。東広島市でも、特に50歳以上の教職員にはデジタルリテラシー対策は急務だ。また、大規模の小中校を中心とした20校では、ICタグを付与した「ミマモルメ」で子どもが登下校時に校門を通過した際に保護者にメールで通知(希望者のみ、有料)しているが、小中規模校では導入がなく活用が均一ではない。

農業分野への活用
ICT利活用 農業従事者の理解が必要

 「すごい」で紹介した以外にも、ICTを利活用した農作業の省力化技術は多くのメニューがある。しかし、農業法人を除く個人の農業従事者はデジタルリテラシーが向上していないため、早期の導入が難しいのが現実。理由は農業従事者の高齢化の進行。農業従事者の約8割は65歳以上、と後継者も育ちにくい環境にある。当然、経営感覚を持って新しい技術の導入に踏み込むことには消極的だ。

>>全国のスマート農業導入事例


生活に身近なICT関連事業の状況

災害対応AIチャットボットの状況

【運用期間】2018年8月3日〜2019年3月31日
【利用者チャット数】9,047件(利用者数540人)
【チャットボットチャット数】14,765件(利用者数1,790人)

定住サイトAIチャットボットの状況

【運用期間】2020年2月18日〜3月31日
【問い合わせ件数】97件(うち応答率40%)

もったいない・・・
事業者からの施行の提案で実施したため費用は無料だが、利用者数がいまいち伸びず、認知不足の面も・・・

公設wi-fiの状況(2020年3月末時点)

【設置数】59施設65カ所 
※JR西条駅待合所、JR寺家駅自由通路、安芸津港待合室にもあり

公設光ケーブルの利用状況(2020年3月末時点)

インターネット48.02%、ケーブルテレビ20.02%

もったいない・・・
約28億円のインフラ整備の結果としては、大いにもったいない。


記者の目
市民目線の機能重要
現実と向き合うことが大切

 今回のコロナ禍は、これからの時代にICTの活用が必要不可欠になることを示唆していることを前置きして、上記で取り上げたことについて考えてみたい。
 ホームページに最も求められるのは使いやすさだ。目的の情報にスムーズにたどり着けることがポイントになる。
 ただ残念ながらアクセス件数を見る限り、市民にとって使い勝手がいいものになっているとは言い難い。1カ月の平均アクセス件数は、本紙のウェブサイトへのアクセス件数の4倍ほどでしかない。そこには建設業者による電子入札のためのアクセスも多く、ホームページは広報紙と並んで市が市民に伝える最大の情報発信ツールであることを考えると、市民が必要としている情報が伝わっているのか心配になる。
 件数の向上にはコンテンツ(情報の内容)の構成も含めて、市民目線に沿ったものを開発すべきだろう。市民目線の側面からいえば、国の補助で民間事業者が市に提案して行ったチャットボットの運用は完全な消化不良だった。市民目線や東広島の実情からかけ離れたマニュアル通りのサービスでは利用者を増やすことは難しい。
 議会や教育、農業の分野で共通する課題は、ICT機器であるハードの導入は進んでいるのに、利用する側のデジタルリテラシーが向上していないこと。大きなネックになっているのは年齢だ。高齢になればなるほど、ICT機器から遠ざかる現実が見え隠れする。
 とはいえ、現在を抜きにして未来はない。冒頭で書いたようにコロナ時代の新しい日常は待ったなし。筆者もそうだが、「年だから」と逃げていたのでは取り残されるばかりだ。ここにある現実の問題から目を背けず向き合うことが大切だろう。

(日川)


2人のプロの目

>>地域課題解決のための技術進化を

>>身近な行政手続き ICT化に遅れ


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